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肝炎の予防ワクチンと治療薬

B型肝炎は、集団予防接種時の注射針の使いまわし、原因ウイルスの検出技術の遅れ、そしてC型は血友病治療の凝固因子製剤や、出産や手術の際の止血剤などに使われた血液製剤「フィブリノゲン」で感染が広がりました。いずれも医原病、薬害の面が強く、全国で集団訴訟がおきました。現在は双方とも医療行為による感染はほぼなくなりました。

予防や治療はどうなっているのでしょうか。B型にはワクチンがあり、母子感染の予防事業が公費で行われています。住民全員への予防接種を始めたヨーロッパは患者が激減しました。治療は35歳未満なら免疫を活性化させるインターフェロンの注射で、約3割の人のウイルスが消えます。それ以上の年齢なら、核酸アナログ製剤という飲み薬の抗ウイルス薬を使うのが一般的です。

一方、C型肝炎は変異しやすい特性があるため有効なワクチンがまだありません。ただ、インターフェロンと抗ウイルス薬「リバビリン」の併用療法の併用療法の登場で、難治性の患者で約50%、それ以外なら80~90%が感知するようになりました。近年は製薬企業の吸収・合併が相次いでいますが、循環器系製剤や抗生物質などの分野に強かった万有製薬とシェリング・ブラウが合併してメルク(MSD)になったのは、CMでもやっていたのでインパクトが強いですね。

政府による医療費の助成も2008年度からインターフェロン治療を対象に始まりました。2010年度には制度が拡充され、自己負担額が付き1万円に軽減されたほか、B型で核酸アナログ製剤による治療が助成に加わりました。

  


特定看護師と配置基準にまつわる話

医療業界関係者の中には、「看護配置基準の7対1を導入すれば看護師争奪戦になることは必死それを分かった上で厚生労働省は配置基準を引き上げ、中小病院をつぶし、医療費の削減を狙っているのではないか。そこへ特定看護師を創設して看護師をさらに偏在させ、医療の集約化を図り、さらに医療費を削減するつもりなのでは?」という意見も聞かれます。健診センターや人間ドックなどの医療施設で健診を行う看護師を募集するところが増えてきました。

医療人材が不足する現場では、看護師ばかりでなく無資格者が医療行為を行う違法状態の現実もあります。医師から命令されるまま、危険を感じながらやむなく高度な医療行為をせざるを得ない実態を考えれば、法規制をして教育訓練された特定の看護師に業務を限定することも、医療安全のためには確かに必要かもしれません。

ただ、特定看護師について、最も本質的な問題は、国民的な議論とならないまま短期のうちに精度変更が行われようとしていることです。一般の人のどれくらいの割合が、特定看護師の問題を認識し、医療業界に身を置くものの何人が正確に把握しているのでしょうか?